製造・軽作業の基礎ガイド
派遣先で仕事内容や条件が違った場合は誰に相談する?
派遣先で仕事内容、勤務時間、勤務地、残業などが説明と違うと感じたときに、求人情報と契約書類を照合し、派遣会社・派遣先・公的窓口へ相談する順番を解説します。

派遣先で仕事内容や勤務条件が説明と違うと感じたら、まず「どの説明・書類と、実際の何が違うか」を記録し、雇用主である派遣会社へ相談します。現場の作業確認は派遣先の指揮命令者へ行えますが、賃金・労働時間・契約内容の調整を派遣先と本人だけで決めないようにしてください。
危険な作業、ハラスメント、体調悪化など緊急性がある場合は、通常の確認順を待たず、安全確保と緊急窓口への連絡を優先します。
まず「何と何が違うか」を分ける
比較する資料によって、確認先と法的な扱いが異なります。
| 比較するもの | 主な役割 | 違いがある場合 |
|---|---|---|
| 求人情報 | 応募時の募集条件 | 保存画面と最終条件を照合 |
| 担当者の説明・メール | 仕事紹介時の説明 | 日時・発言・メールを整理 |
| 労働条件通知書など | 派遣会社との雇用条件 | 派遣会社へ直ちに確認 |
| 就業条件明示書など | 派遣先での業務・就業条件 | 指揮命令者と派遣会社へ確認 |
| 実際の指示・勤務 | 現場の事実 | 日時、内容、相手を記録 |
求人広告の条件と、労働契約を結ぶときに個別に明示された労働条件は同じではありません。求人情報と違うだけで直ちに同じ法的効果が生じるとは限らないため、どの資料のどの項目が違うかを明確にします。
よくある条件相違
- 一般事務と聞いていたが、営業電話が中心だった
- 軽作業と聞いていたが、継続的な重量物運搬がある
- 残業なしと説明されたが、毎日残業を指示される
- 契約にない曜日・夜勤を求められる
- 就業場所や研修場所が書類と違う
- 時給、交通費、手当が提示条件と違う
- 在宅勤務の予定だったが、常時出社を求められる
- 聞いていない危険作業を指示される
「付随業務」「その他業務」と書かれていても、どの範囲でも無制限に追加できるという意味ではありません。主な業務、頻度、必要な技能、安全教育、責任範囲を確認します。
最初に残す記録
- 求人ページのURL・スクリーンショット
- 労働条件通知書・就業条件明示書
- 仕事紹介時のメール・メモ
- 実際に指示された日時・場所
- 指示した人と具体的な内容
- 実際の始業・終業・休憩時間
- 相談した日時・相手・回答
感想だけでなく、比較できる事実を残します。
書面:電話取次とデータ入力
実際:1日約3時間、新規顧客への営業電話を指示
開始:〇月〇日
指示者:〇〇課の△△さん
録音や社内資料の持ち出しには、法令、プライバシー、営業秘密、会社規則など別の問題が関わることがあります。まず自分が受けた指示と勤務時間を、持ち出し可能な範囲で記録してください。
誰に、何を相談する?
派遣先の指揮命令者
その日の作業内容、優先順位、安全手順など、現場での確認を行います。
就業条件では〇〇業務と認識しています。
今回の△△作業は担当範囲に含まれるか、
派遣会社にも確認したいです。
危険を感じる場合は、作業を始める前に安全担当へ確認します。
派遣会社の担当者
契約上の業務範囲、賃金、勤務時間、就業場所などを確認し、派遣先との調整を依頼します。
就業条件明示書では〇〇となっていますが、
〇月〇日から△△を継続して指示されています。
業務範囲に含まれるか確認し、
派遣先と調整をお願いします。
派遣会社・派遣先の苦情処理窓口
派遣就業では、苦情の申出先や処理方法などが定められ、派遣労働者へ示されます。担当者へ相談しても進まない、担当者本人との関係が問題になっている場合は、就業条件の書類にある苦情処理担当者や会社の相談窓口へ連絡します。
公的な相談窓口
社内で解決しない場合や法令上の扱いを確認したい場合は、相談内容に応じて次の窓口を利用します。
- 都道府県労働局の需給調整事業担当
- 総合労働相談コーナー
- 労働基準監督署
- ハローワーク(求人情報との相違など)
賃金未払い、安全衛生、派遣法上の問題など、内容によって担当窓口が異なります。書類と時系列を用意して相談してください。
明示された労働条件が事実と違う場合
労働基準法第15条では、労働契約の締結時に明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除できると定めています。
ただし、この「明示された労働条件」は、求人広告の表示そのものと常に同じではありません。厚生労働省も、求人票は募集時に示す条件であり、同条に基づき個々の労働者へ明示する労働条件とは区別して説明しています。
すぐ退職の結論だけを出す前に、次を確認します。
- 契約締結時に何が明示されたか
- 実際にどの事実が違うか
- 一時的な応援か、継続的な変更か
- 派遣会社がどのように是正するか
- 安全・健康上、確認を待てる状況か
個別の法的判断が必要な場合は、書類を持って公的窓口や弁護士へ相談してください。
相談後に考えられる対応
条件相違が確認された場合、状況に応じて次の対応が考えられます。
- 業務を明示された範囲へ戻す
- 仕事内容・勤務条件を改めて説明する
- 本人が同意する場合に条件を書面で変更する
- 必要な教育・安全対策を行う
- 派遣先での就業を終了し、別の派遣先を探す
- 雇用契約の終了を話し合う
同じ派遣会社との雇用を続けながら職場を変えたい場合は、派遣先変更の相談手順も確認してください。
変更後の条件に同意するかは、仕事内容、時給、勤務時間、安全性、契約期間を確認して判断します。口頭で「今後はこの仕事もお願いします」と言われただけで、すべての契約条件が変わったと思い込まないようにします。
相談中の勤怠・給与を確認する
問題を相談している期間も、出勤、欠勤、早退、待機などが給与にどう扱われるかを派遣会社へ確認します。
- 派遣会社の指示で自宅待機する場合
- 安全上の理由で作業を中断した場合
- 派遣先から帰宅を指示された場合
- 別業務への変更を断り、契約業務を待つ場合
自己判断で帰宅・欠勤すると事実関係が分かりにくくなるため、緊急時を除き、派遣会社へ連絡し指示を記録します。
緊急性がある場合
次の場合は、契約書の照合だけを続けず安全を優先します。
- 保護具や教育がないまま危険作業を求められた
- 暴力・脅迫・深刻なハラスメントがある
- 体調が急に悪化した
- 資格が必要な作業を無資格で求められた
- 法令違反が疑われる行為を強要された
現場の安全担当、派遣会社の緊急窓口、必要に応じて警察・消防・医療機関・労働基準監督署などへ連絡します。
条件相違についてよくある質問
1日だけ別の仕事を頼まれました
一時的な応援か、契約上の付随業務か、今後も続く変更かを確認します。安全教育が必要な作業や、資格・身体負担が異なる作業は、始める前に派遣会社と派遣先へ確認してください。
派遣先から「みんなやっている」と言われました
ほかの人が担当していることと、自分に明示された業務範囲は別の問題です。就業条件の書類をもとに、派遣会社へ確認を依頼します。
求人では「残業なし」でしたが、契約書には「残業あり」とあります
いつ条件が変わり、契約前にどの説明を受けて同意したかを整理します。今後適用される条件、残業の見込み、断れる場合、割増賃金を派遣会社へ確認してください。
相談したら派遣先に居づらくなりませんか?
派遣会社へ、派遣先への伝え方と本人情報の扱いを確認します。苦情処理の仕組みを利用し、相談日時と回答を記録してください。安全・健康に関わる問題を一人で我慢しないことが重要です。
条件が違うので今日から行かなくてもよいですか?
明示された条件相違や安全上の緊急性など、個別事情で扱いが変わります。連絡を絶つのではなく、派遣会社へ直ちに状況を伝え、就業・給与・契約の扱いを確認してください。途中退職を考える場合は派遣契約の途中で辞めたい場合も確認してください。
まとめ
派遣先で仕事内容や条件が違うと感じたら、求人情報、契約時の書類、実際の指示を分けて記録し、雇用主である派遣会社へ相談します。現場の作業確認は派遣先、契約・賃金・勤務条件の調整は派遣会社という役割を意識してください。
求人情報と個別に明示された労働条件は法的な扱いが異なります。安全・健康上の緊急性がある場合はすぐに安全を確保し、担当者で解決しない場合は苦情処理窓口や都道府県労働局などへ相談しましょう。