派遣社員の無期転換ルール|5年ルールと派遣3年ルールは別

派遣社員の無期転換について、通算5年を超える場合の申込権、派遣3年ルールとの違い、無期雇用派遣・正社員との違い、申込み前の確認事項を解説します。

派遣契約の期間の違いを資料で確認する相談者と担当者
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派遣社員の「5年ルール」と「3年ルール」は、対象となる契約も、数える相手も異なります。5年ルールは、派遣会社との有期労働契約を無期労働契約へ転換するためのルールです。3年ルールは、派遣先が労働者派遣を受け入れられる期間に関するルールです。

派遣社員の雇用主は派遣先ではなく派遣会社です。そのため、無期転換の通算期間は同じ派遣先で働いた年数ではなく、同じ派遣会社との有期労働契約を基準に確認し、申込みも派遣会社へ行います。

2026年7月の意見交換会で無期転換ルールが改正されたわけではない

厚生労働省は2026年7月16日、派遣関係3団体との意見交換会を開き、派遣労働者の希望に応じた働き方や公正な評価などに関する法令の周知と遵守を、会員企業を含めて徹底するよう求めました。

会合では労働契約法と労働者派遣法について説明され、無期転換ルールのQ&Aや派遣法令関係資料も配布されています。ただし、この会合で新しい5年ルールや3年ルールが決定・施行されたという発表ではありません。この記事では、2026年7月23日時点で厚生労働省が案内している現行ルールを整理します。

5年ルールと3年ルールの違い

比較項目無期転換の5年ルール派遣の3年ルール
根拠となる制度労働契約法の無期転換ルール労働者派遣法の期間制限
対象派遣会社と本人の有期労働契約派遣先が受け入れる労働者派遣
数える相手・場所同じ使用者である派遣会社派遣先の事業所、または同じ組織単位
原則の期間有期契約が更新され通算5年を超える事業所単位・個人単位とも原則3年
期間後の扱い本人の申込みにより派遣会社との契約を無期へ転換派遣受け入れの延長手続や配置変更などを検討
派遣先の正社員になるか自動的にはならない自動的にはならない

「同じ派遣先で5年働けば、その派遣先の正社員になれる」「3年たつと派遣会社との雇用契約も必ず終わる」というルールではありません。まず、派遣会社との労働契約と、派遣先で働く期間を分けてください。

無期転換申込権が発生する基本条件

無期転換ルールは、同一の使用者との有期労働契約が更新され、通算契約期間が5年を超えたとき、労働者が申し込むことで期間の定めのない労働契約へ転換できる制度です。

派遣社員の場合は、次の順で確認します。

  1. 派遣会社と期間を定めた労働契約を結んでいる
  2. 同じ派遣会社との有期労働契約が1回以上更新されている
  3. 対象となる有期労働契約の通算期間が5年を超える
  4. 申込権が発生する契約期間中に、本人が派遣会社へ申し込む

自動的に無期契約へ変わるわけではない

通算5年を超えただけでは自動転換されません。本人が無期転換を申し込む必要があります。

一方、要件を満たした労働者が申し込むと、法律上は派遣会社が承諾したものとみなされ、派遣会社は申込みを断ることができません。無期労働契約へ転換するのは、申込みをした時点の有期労働契約が満了する日の翌日からです。

1年契約の場合の数え方

たとえば、同じ派遣会社との1年契約が繰り返し更新された場合、5回目の更新後に始まる契約で通算期間が5年を超えるため、その契約期間中に無期転換申込権が発生します。

「5年ちょうど経過した日に自動転換される」のではなく、通算期間が5年を超えることになる有期契約の初日から満了日までに申し込める、という順序です。

派遣先が変わっても、雇用主が同じなら確認する

派遣先Aから派遣先Bへ変わっても、同じ派遣会社との有期労働契約が続いている場合は、派遣先の変更だけを理由に通算期間がゼロになるものではありません。

反対に、別の派遣会社へ登録し、その会社と新たな労働契約を結んだ場合、異なる使用者との契約期間を合算して5年と数える制度ではありません。

登録型派遣では、派遣就業のたびに派遣会社と有期労働契約を結ぶ場合があります。契約のない期間があると、その長さやそれまでの契約期間によって通算の扱いが変わることがあるため、登録日だけで数えず、雇用契約の開始日・満了日を並べて確認してください。

無期転換を申し込む相手は派遣先ではなく派遣会社

派遣社員と労働契約を結び、賃金を支払う雇用主は派遣会社です。したがって、無期転換の申込先も派遣会社です。

派遣先の上司が「長く働いてほしい」と話していても、それは派遣会社との無期労働契約の成立を意味しません。また、派遣先へ申込みを伝えても、派遣会社への無期転換申込みに代わるとは限りません。

申込みは口頭でも法律上有効ですが、厚生労働省は後の行き違いを避けるため、書面での申込みを勧めています。派遣会社所定の様式があるかを確認し、提出日・提出先・内容を保存しましょう。

無期転換申込権の対象となる契約期間を確認したうえで、
期間の定めのない労働契約への転換を申し込みます。
申込みの受領日と、転換後に適用される労働条件を
書面で確認させてください。

派遣の3年ルールには2種類ある

派遣の期間制限には、原則として「事業所単位」と「個人単位」の2種類があります。

事業所単位の期間制限

同じ派遣先の事業所が労働者派遣を受け入れられる期間は、原則3年です。ただし、派遣先が抵触日の1か月前までに過半数労働組合等から意見を聴くなど所定の手続きを行えば、さらに3年まで延長できます。

これは特定の一人だけの在籍期間ではなく、派遣先の事業所が派遣を受け入れる期間に関する制限です。

個人単位の期間制限

同一の派遣労働者を、同じ派遣先事業所の同一の「組織単位」へ派遣できる期間は3年が上限です。組織単位は一般に課やグループなどを指しますが、名称だけでなく、業務の類似性・関連性や、組織の長の指揮監督権限などから実態に応じて判断されます。

同じ事業所でも組織単位が変われば、事業所単位の期間制限に抵触しない範囲で、3年を超えて受け入れられる場合があります。自分で判断せず、就業条件明示書に記載された組織単位と個人単位・事業所単位の抵触日を確認してください。

無期雇用の派遣労働者は期間制限の対象外

派遣会社に無期雇用されている派遣労働者は、事業所単位・個人単位の期間制限の対象外です。このほか、60歳以上の派遣労働者や、終期が明確な有期プロジェクト業務、一定の日数限定業務、産前産後休業・育児休業・介護休業などの代替業務にも例外があります。

ただし、期間制限の対象外であることは、同じ派遣先・同じ仕事で働き続けることを本人に保証するものではありません。派遣会社との労働条件で、配置、就業場所、待機時の扱いなどを確認する必要があります。

無期転換・無期雇用派遣・正社員の違い

「無期」という言葉が同じでも、派遣先の正社員になることとは別です。

働き方雇用主契約期間主な注意点
有期雇用派遣派遣会社期間の定めあり更新の有無、通算期間、派遣期間を確認
5年ルールによる無期転換派遣会社期間の定めなし転換後の雇用区分と労働条件は会社制度による
無期雇用派遣派遣会社期間の定めなし配属変更、待機、給与、勤務地の範囲を確認
派遣先の正社員派遣先企業一般に期間の定めなし採用選考や登用手続が別に必要

無期転換しても正社員になるとは限らない

無期転換ルールが変えるのは、労働契約の期間が有期か無期かという点です。転換後の雇用区分は会社の制度によって異なるため、「無期転換社員」「無期契約社員」などの区分になる場合があります。

給与などの労働条件は、労働協約、就業規則、個々の労働契約に別の定めがある部分を除き、原則として直前の有期労働契約と同じです。無期転換だけを理由に、給与、賞与、退職金、職務が自動的に正社員と同じになるとは限りません。

無期雇用派遣でも雇用主は派遣会社

無期雇用派遣は、派遣会社と期間の定めのない労働契約を結び、派遣先で仕事をする働き方です。5年ルールを申し込んで無期労働契約になる場合も、雇用主が派遣会社である点は変わりません。

派遣先との労働者派遣契約が終了したとき、別の派遣先へ配置される可能性があります。待機中の給与、勤務地・職種の変更範囲、転居を伴う異動の有無、就業規則上の雇用区分を確認してください。

雇用形態全体の比較は正社員・契約社員・派遣社員の違いでも整理しています。

申込み前に確認したいこと

2024年4月以降、使用者は、無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換を申し込めることと、無期転換後の労働条件を書面で明示する必要があります。申込権を行使せずに有期契約を更新した場合も、以後の更新ごとに明示が必要です。

  • 同じ派遣会社との有期労働契約の開始日・満了日
  • 更新回数と契約のない期間
  • 無期転換申込権が発生する契約期間
  • 申込方法、提出先、提出期限、受領確認の方法
  • 無期転換後の雇用区分と適用される就業規則
  • 基本給、手当、賞与、退職金、昇給、評価制度
  • 勤務時間、休日、休暇、定年
  • 職務・就業場所と将来の変更範囲
  • 派遣先が決まっていない待機期間の賃金・休業の扱い
  • 配属変更や転居を伴う異動の可能性
  • 正社員登用制度の有無と、無期転換との違い

無期転換後の条件が示されたら、「契約期間以外に何が変わるか」「変わらない項目は何か」を一つずつ確認します。無期転換申込権の案内と、派遣先での就業条件明示書は目的が異なる書類なので、両方を保存してください。

現在の契約満了日、更新上限、更新しない場合の手続きは派遣の契約更新・終了ガイド、求人時の雇用主・契約期間の確認は派遣求人票の見方を参照してください。

説明がない・申込みを断られたときの相談先

まず、派遣会社の担当者または人事・労務窓口へ、確認したい制度を明確にして問い合わせます。「派遣先の3年ルール」ではなく「派遣会社との有期労働契約の無期転換申込権について」と伝えると、論点を分けやすくなります。

回答に疑問がある場合は、相談内容に応じて窓口を選びます。

相談内容主な公的窓口
無期転換申込権、雇止め、転換後の労働条件都道府県労働局の無期転換ルール特別相談窓口
派遣の期間制限、就業条件明示、派遣制度都道府県労働局の需給調整事業担当
どの窓口へ相談すべきか分からない労働問題総合労働相談コーナー

相談時は、労働契約書・労働条件通知書、就業条件明示書、更新履歴、派遣会社とのメール、無期転換後の条件資料を用意します。申込みを断られた、更新上限を突然示された、説明と書面が一致しないといった場合は、日付と担当者名を含めて経緯を記録してください。

よくある質問

派遣先を変わったら5年のカウントは最初からですか?

無期転換の通算期間は、派遣先ではなく同じ派遣会社との有期労働契約を基準にします。派遣先の変更だけで自動的にリセットされるものではありません。ただし、契約のない期間がある場合は通算の扱いが変わることがあるため、契約履歴を派遣会社へ確認してください。

3年働けば派遣先に直接雇用されますか?

3年の期間制限だけを理由に、派遣先との直接雇用が自動成立するわけではありません。派遣元が講じる雇用安定措置や、派遣先の採用・登用制度は別に確認する必要があります。

無期転換を申し込めば同じ派遣先に残れますか?

無期転換は派遣会社との労働契約期間を無期にする制度です。同じ派遣先・同じ組織・同じ業務で働き続けることを保証する制度ではありません。転換後の配置や就業場所の変更範囲を確認してください。

無期雇用になれば解雇されることはありませんか?

無期労働契約は契約満了日がなくなるという意味で、解雇が一切なくなるという意味ではありません。解雇には客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要ですが、個別事情がある場合は公的窓口や専門家へ相談してください。

無期転換を申し込まないまま更新できますか?

申込権が発生した契約中に申し込まなくても、有期労働契約をさらに更新した場合は、新しい契約期間中にも申込みができます。更新の都度、無期転換の申込機会と転換後の労働条件が明示されているか確認してください。

まとめ

派遣社員の5年ルールは、同じ派遣会社との有期労働契約が更新され、通算5年を超えた場合に、本人の申込みで派遣会社との契約を無期へ転換する制度です。一方、3年ルールは、派遣先の事業所単位・個人単位で派遣受け入れを制限する制度です。

無期転換しても派遣先の正社員へ自動的に変わるわけではなく、給与や職務が必ず変わるわけでもありません。契約履歴、申込権の発生時期、転換後の雇用区分・給与・配置・待機時の扱いを書面で確認しましょう。契約と契約の間に空白がある場合はクーリング期間と5年の数え方で通算対象を確認できます。

派遣を初めて利用する場合は派遣登録から仕事開始までの流れも合わせて確認してください。

参考情報