派遣社員にも最低賃金は適用される?派遣先の都道府県と確認方法【2026年】

派遣社員に適用される最低賃金はどの都道府県の金額か、地域別・特定最低賃金の見方、対象賃金、時給換算、派遣先変更時の確認方法を解説します。

求人条件の書類を電卓で確認する派遣社員
記事内容をもとに制作したイメージ画像です。
この記事には広告リンクを含む場合があります。評価や掲載順位は、広告報酬だけで決定しません。

派遣社員にも最低賃金は適用されます。確認するのは、派遣会社がある都道府県や自宅の住所ではなく、実際に働く派遣先の事業場がある都道府県の最低賃金です。

工場など一定の産業では、地域別最低賃金に加えて「特定(産業別)最低賃金」が適用される場合があります。両方の対象になる場合は、高い方の金額以上でなければなりません。

先に確認したい3つのポイント

確認項目見る場所ポイント
どの地域の金額か就業条件明示書などの派遣先所在地派遣元や自宅ではなく派遣先で判断
特定最低賃金の対象か派遣先の産業・担当業務対象なら地域別最低賃金と比べる
自分の賃金が上回るか労働条件通知書・給与明細・所定労働時間総支給額ではなく、対象賃金を時給換算

確認したい状況から選ぶ

状況確認するページ
派遣社員にどの地域の最低賃金が適用されるか知りたいこのページで派遣先所在地と特定最低賃金を確認
最低賃金が改定されたのに時給が変わらない改定額・発効日と派遣時給の確認手順
現在の時給が最低賃金を下回る可能性がある差額計算・派遣会社への確認・相談手順
研修・待機・朝礼・着替え時間が勤怠に入っていない研修・待機・着替え時間と賃金の確認方法
最低賃金と同一労働同一賃金の違いを知りたい派遣の同一労働同一賃金ガイド

似た検索語でも確認する制度と書類が異なります。まず現在の疑問に近い経路を選び、同じ内容を複数ページで重ねずに確認してください。

派遣社員は「派遣先」の最低賃金を見る

派遣社員の雇用主と賃金の支払者は派遣会社です。ただし、最低賃金は派遣先の事業場の所在地を基準にします。

たとえば、自宅がA県、派遣会社がB県、実際に働く工場がC県にある場合、確認するのはC県の最低賃金です。派遣会社の所在地の金額と比べて低い方を選ぶ仕組みではありません。

最低賃金は雇用形態を問わず適用されます。「派遣だから対象外」「試用期間だから自動的に対象外」とは判断できません。都道府県労働局長による減額の特例許可など、個別の例外があると説明された場合は、許可の有無と適用条件を派遣会社へ確認してください。

地域別最低賃金と特定最低賃金は高い方を使う

最低賃金には、主に次の2種類があります。

地域別最低賃金

各都道府県に1つずつ設定され、原則として、その都道府県内の事業場で働くすべての労働者と使用者に適用されます。派遣社員は派遣先の都道府県を確認します。

特定(産業別)最低賃金

特定の地域・産業の基幹的な労働者などを対象に設定されます。鉄鋼業、電子部品・デバイス・電子回路や電気機械器具の製造業など、工場の派遣先が対象産業に当てはまる場合があります。

ただし、対象となる産業名が似ているだけで適用を断定することはできません。特定最低賃金ごとに、対象業種・業務と適用されない労働者の範囲が異なるため、最新の特定(産業別)最低賃金全国一覧と都道府県労働局の案内を確認してください。

適用状況比較に使う金額
地域別最低賃金だけが適用派遣先所在地の地域別最低賃金
地域別と特定最低賃金の両方が適用2つのうち高い方
一覧の特定最低賃金に「※」がある地域別最低賃金を確認

最低賃金の計算に含める賃金・含めない賃金

最低賃金との比較に使うのは、毎月支払われる基本的な賃金です。給与明細の総支給額を、そのまま所定労働時間で割るわけではありません。

扱い主な賃金
原則として対象基本給、職務手当など毎月支払われる基本的な賃金
対象から除外臨時に支払われる賃金、賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
対象から除外時間外・休日の割増賃金、深夜割増賃金のうち通常の賃金を超える部分
対象から除外精皆勤手当、通勤手当、家族手当

夜勤や残業が多く、総支給額が高く見えても、割増賃金を除いた金額が最低賃金を満たすか確認する必要があります。交通費の扱いは求人の「込み」「別途支給」という表示だけで決めず、労働条件通知書と給与明細の内訳を確認しましょう。派遣の交通費ガイドでも確認順を整理しています。

時給・日給・月給を時間額へ換算する方法

適用される最低賃金は時間額で示されます。賃金形態に応じて、次のように比較します。

賃金形態換算方法
時給制時給と最低賃金額を比較
日給制対象となる日給 ÷ 1日の所定労働時間
月給制対象となる月給 ÷ 1か月平均所定労働時間
日給と月給の組み合わせそれぞれを時間額へ換算して合計
出来高払制・請負制対象となる賃金総額 ÷ その計算期間の総労働時間

月給制を確認する例

毎月の基本給と対象手当の合計が20万円、1か月平均所定労働時間が170時間なら、確認に使う時間額は次のとおりです。

200,000円 ÷ 170時間 = 約1,176円

この時間額と、派遣先で適用される地域別・特定最低賃金の高い方を比べます。残業代、通勤手当など対象外の賃金を20万円へ足さない点に注意してください。

1か月平均所定労働時間が分からない場合は、自己判断で実際の勤務時間を当てはめず、派遣会社へ計算根拠を確認します。給与明細のどの欄を見るかは派遣の給与明細の見方も参考にしてください。

派遣先が変わったら最低賃金も確認し直す

同じ派遣会社との雇用が続いても、派遣先が別の都道府県へ変われば、適用される地域別最低賃金も変わります。同じ都道府県内の変更でも、派遣先の産業や担当業務が変わり、特定最低賃金の対象が変わる可能性があります。

派遣先変更の前に、次を派遣会社へ確認してください。

  • 新しい派遣先の正式な事業場所在地
  • 新しい派遣先で適用される地域別最低賃金
  • 特定最低賃金の対象になるか、その産業名と根拠
  • 新しい時給と適用開始日
  • 労働条件通知書・就業条件明示書をいつ受け取れるか
  • 手当を含む場合、最低賃金の計算へ含める項目と除外する項目

「今までと同じ時給だから問題ない」とは限りません。新しい派遣先へ適用される金額と発効日を基準に照合します。

最低賃金を下回るかもしれないときの確認・相談手順

まず、所在地や手当の扱いを取り違えていないか、書類をそろえて計算し直します。

  1. 労働条件通知書、就業条件明示書、給与明細、勤怠記録を用意する
  2. 派遣先の事業場所在地と産業を確認する
  3. その勤務期間に有効だった地域別・特定最低賃金を確認する
  4. 対象外の手当や割増賃金を除き、時間額へ換算する
  5. 派遣会社へ計算式と適用した最低賃金額を書面やメールで確認する
  6. 解決しない場合は、都道府県労働局または最寄りの労働基準監督署へ相談する

派遣先ではなく、まず賃金を支払う派遣会社へ問い合わせます。連絡するときは、次のように対象期間と疑問点を分けると伝わりやすくなります。

〇月勤務分の賃金について確認したいです。派遣先は〇県〇市で、給与明細の基本給・手当は〇円、1か月平均所定労働時間は〇時間と説明を受けています。適用した地域別または特定最低賃金の名称、金額、発効日と、時間額の計算式を教えてください。

最低賃金を下回る賃金を労使で合意しても、その部分は法律上無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものと扱われます。差額があると思う場合は、給与明細や連絡記録を保存して相談してください。

2026年度の改定はいつ分かる?

厚生労働省は、2026年7月23日15時から「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安」を議題とする中央最低賃金審議会の小委員会を開催すると案内しています。

ただし、中央の審議で示される「目安」が、その時点で各都道府県の最低賃金額として確定・発効するわけではありません。目安を参考に地方最低賃金審議会が地域の実情を踏まえて審議・答申し、異議申出の手続きを経て、都道府県労働局長が決定します。

この記事は、次の両方が公式に公表された後に更新します。

  • 2026年度の都道府県別最低賃金額
  • 各都道府県の発効日

審議途中の報道や予測値だけで「〇円に決まった」とは記載しません。改定後も、勤務日にどの金額が有効だったかを発効日と合わせて確認してください。

よくある質問

派遣会社がある都道府県の最低賃金を見ればよいですか?

いいえ。派遣社員は、実際に働く派遣先の事業場所在地に適用される最低賃金を確認します。自宅や派遣会社の所在地ではありません。

交通費や残業代を含めれば最低賃金を上回る場合は問題ありませんか?

最低賃金との比較では、通勤手当、時間外・休日の割増賃金、深夜割増賃金の一部などを除外します。総支給額ではなく、対象となる賃金だけを時間額へ換算してください。

最低賃金が上がれば、派遣の時給も同じ日に上がりますか?

新しい最低賃金の発効日以降、適用対象となる賃金はその金額を下回ることができません。ただし、現在の時給が新しい最低賃金をすでに上回っている場合に、一律の上乗せ額だけ自動昇給する制度ではありません。発表日・発効日・勤務日を分けた確認手順は最低賃金が上がっても派遣時給が変わらない場合で解説しています。

最低賃金と同一労働同一賃金は同じ制度ですか?

別の制度です。最低賃金は賃金の法的な下限を定めますが、それだけで派遣先の通常の労働者との待遇差が妥当かは判断できません。派遣の待遇決定方式や2026年10月改正は派遣の同一労働同一賃金ガイドを確認してください。

まとめ

派遣社員の最低賃金は、派遣元や自宅ではなく、派遣先の事業場所在地を基準に確認します。特定最低賃金も適用される場合は地域別最低賃金と比べ、高い方を使います。

給与明細の総支給額だけで判断せず、賞与、割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などを除外し、対象賃金を時間額へ換算しましょう。派遣先が変わったときと、新しい最低賃金が発効したときは、適用金額・発効日・計算式を派遣会社へ確認してください。

下回る可能性が見つかった後は最低賃金との差額計算・相談手順、勤怠へ入っていない研修や着替えなどがある場合は研修・待機・朝礼・着替え時間の確認方法へ進んでください。

参考情報