最低賃金が上がったのに派遣時給が変わらない?適用日と確認手順

最低賃金の改定後も派遣時給が変わらないとき、派遣先所在地の金額、発効日、勤務日、対象賃金を照合し、派遣会社へ確認する手順を解説します。

最低賃金の発効日と派遣時給をカレンダーで確認する人
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最低賃金の引上げが発表されても、その発表日から派遣時給が一律に上がるわけではありません。最初に確認するのは、派遣先の事業場に適用される最低賃金の金額と発効日です。

発効日を過ぎても時給が変わらない場合、現在の時給が新しい最低賃金以上なら、最低賃金の改定だけを理由とする自動昇給はありません。一方、発効日以後の勤務に対する対象賃金が最低賃金を下回るなら、派遣会社へ計算根拠と修正方法を確認する必要があります。

時給が変わらない4つの状況

状況まず確認すること考え方
引上げの目安や答申が報じられた都道府県別の決定額と発効日目安・答申だけで新しい金額が発効したとは限らない
金額は決まったが発効日前実際の発効年月日原則として発効日前の勤務には従前の最低賃金が適用
発効日後も現在の時給が新しい最低賃金以上現在の時給と対象手当最低賃金法による一律の上乗せはない
発効日後の対象賃金が新しい最低賃金未満勤務日、派遣先、給与の内訳差額や勤怠の修正を派遣会社へ確認

「発表日」「答申日」「発効日」を分ける

地域別最低賃金は、中央最低賃金審議会が示す引上げ額の目安だけで決まりません。地方最低賃金審議会が地域の実情を踏まえて審議・答申し、異議申出の手続きを経て、都道府県労働局長が決定します。

そのため、ニュースで「最低賃金を引き上げ」と見た日と、実際に新しい金額が効力を持つ日は異なることがあります。確認には厚生労働省の地域別最低賃金全国一覧を使い、次の3項目をセットで記録します。

  • 派遣先の事業場がある都道府県
  • その地域で有効な最低賃金時間額
  • 新しい金額の発効年月日

派遣社員は、自宅や派遣会社の本社ではなく、原則として実際に働く派遣先の事業場所在地の最低賃金を確認します。特定(産業別)最低賃金の対象になる仕事では、地域別最低賃金と比較して高い方を使います。

発効日をまたぐ給与は「勤務日」で分ける

最低賃金は、効力が発生した日以後に提供した労働の対償となる賃金へ適用されます。給与の締め日や支給日が発効日より後かどうかだけで判断しません。

たとえば、新しい最低賃金の発効日が10月16日で、給与計算期間が10月1日から31日までなら、確認は次のように分かれます。

勤務日確認する最低賃金
10月1日〜15日発効前の金額
10月16日〜31日新しい金額

時給変更が次の給与締め日からと案内された場合でも、発効日以後の勤務分が新しい最低賃金を下回らないかを確認します。労働条件通知書の時給表示が更新前のままなら、実際の給与計算で使う時給、変更日、書面の更新時期を派遣会社へ聞いてください。

現在の時給が新しい最低賃金以上なら

最低賃金は、使用者が支払わなければならない賃金の下限です。たとえば、現在の時給が1,300円で、新しい最低賃金が1,200円になった場合、最低賃金法だけを根拠に時給を一定額上乗せする仕組みではありません。

ただし、次のような別の見直し根拠がないかは確認できます。

  • 雇用契約や賃金規程に定期昇給が定められている
  • 労使協定方式の賃金表や能力・経験区分が改定された
  • 仕事内容、責任、必要な技能が増えた
  • 契約更新時に時給の見直しを行うと説明されている

最低賃金の問題と、同一労働同一賃金、労使協定方式の一般賃金、個別の時給交渉は別の論点です。「最低賃金が上がった割合と同じだけ時給を上げる義務がある」とは決めつけず、どの制度・規程に基づく見直しかを分けて質問します。

比較する賃金を給与明細から選ぶ

最低賃金との比較に使うのは、毎月支払われる基本的な賃金です。総支給額をそのまま労働時間で割るわけではありません。

原則として比較に含める比較から除外する
基本給、職務手当など毎月支払われる基本的な賃金臨時に支払われる賃金
最低賃金の対象となる通常の手当賞与など1か月を超える期間ごとの賃金
時間外・休日の割増賃金
深夜割増賃金のうち通常の賃金を超える部分
精皆勤手当、通勤手当、家族手当

夜勤や残業で総支給額が高くても、割増部分や通勤手当を除くと判断が変わることがあります。逆に、給与明細に「時給」の欄が変わっていなくても、最低賃金の対象になる手当が毎月支給されている場合は、対象賃金をまとめて時間額へ換算して確認します。

派遣会社へ確認する5ステップ

  1. 労働条件通知書、就業条件明示書、給与明細、勤怠記録を用意する
  2. 派遣先の正式な事業場所在地と産業を確認する
  3. 公式一覧で最低賃金額と発効年月日を確認する
  4. 発効日前後の勤務時間と、最低賃金の対象になる賃金を分ける
  5. 適用した金額、変更日、計算式、差額の支払時期を派遣会社へ確認する

問い合わせでは、「最低賃金が上がったのにおかしい」とだけ伝えるより、対象日と確認したい項目を具体化します。

派遣先は〇県〇市の事業場です。
〇県の地域別最低賃金が〇月〇日に発効したことを確認しました。
発効日以後の勤務分について、私に適用した最低賃金の名称と金額、
給与明細のどの賃金項目を含めたか、時間額の計算式を教えてください。
時給や書面の変更が必要な場合は、反映月と差額の支払時期も確認したいです。

下回っている可能性があるとき

派遣会社の回答と自分の計算が合わない場合は、次の記録を保存します。

  • 発効日前後の日別の勤務時間
  • 給与明細と賃金台帳に関する説明
  • 労働条件通知書・就業条件明示書
  • 派遣先の事業場所在地と担当業務
  • 派遣会社へ質問した日、回答者、回答内容
  • 公式一覧で確認した最低賃金額と発効日

最低賃金を下回る労働契約の部分は無効となり、最低賃金額と同じ定めをしたものと扱われます。派遣会社で解決しない場合は、派遣先ではなく、都道府県労働局または最寄りの労働基準監督署へ資料をそろえて相談してください。

よくある質問

最低賃金の引上げ額が決まった日に時給も変わりますか?

必ずしも同じ日ではありません。都道府県ごとに公表された発効年月日を確認し、その日以後の勤務分を新しい金額と照合します。

今の時給が新しい最低賃金より100円高ければ問題ありませんか?

地域別最低賃金だけでなく、特定最低賃金の対象になるか、比較から除外する手当を誤って含めていないかを確認してください。両方を確認して上回っている場合、最低賃金の改定だけを理由とする自動昇給はありません。

派遣先が途中で変わりました

派遣先の事業場所在地が変われば、適用される地域別最低賃金も変わる可能性があります。同じ都道府県内でも、産業や業務が変われば特定最低賃金の対象が変わる場合があります。新しい派遣先で確認し直してください。

2026年度の最低賃金はいくらですか?

2026年7月28日時点では、都道府県別の改定額と発効日は未確定です。厚生労働省の審議会ページでは同日に第6回小委員会が開催されていますが、地域別最低賃金全国一覧は令和7年度の金額を掲載しています。公式な決定額と発効日が公表されるまで推測値を使わないでください。

まとめ

最低賃金が上がったのに派遣時給が変わらないときは、報道日ではなく、派遣先所在地の正式な金額と発効日を確認します。発効日前後を勤務日で分け、最低賃金の対象になる賃金だけを時間額へ換算してください。

現在の時給が新しい最低賃金以上なら一律の自動昇給はありません。下回る可能性がある場合は、勤務日、給与の内訳、計算式をそろえ、雇用主である派遣会社へ変更日と差額の扱いを確認しましょう。

参考情報