派遣社員の退職金はどうなる?時給込み・退職金制度・労使協定の確認

派遣社員の退職金について、退職時に受け取る制度、退職金相当額を賃金で受け取る方法、共済・企業年金の違いと労使協定の確認手順を解説します。

派遣社員が退職金の支給方法と労使協定を確認する様子
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派遣社員の退職金は、すべての人が退職時に一時金を受け取る仕組みではありません。派遣会社の待遇決定方式、就業規則・退職金規程、労使協定で選ばれた方法によって、退職時に支給される、毎月の賃金として受け取る、共済・企業年金などへ掛金が拠出されるといった違いがあります。

「退職金なし」「時給に含む」という求人表示だけで判断せず、自分に適用される方式と、支給・計算・退職時の手続きまで書面で確認してください。

まず確認する3つの分かれ道

確認項目選択肢次に見るもの
待遇決定方式派遣先均等・均衡方式/労使協定方式雇入れ時・派遣時の待遇説明
退職金の確保方法退職手当制度/退職金相当額を賃金で支給/共済・企業年金等労使協定、賃金規程、退職金規程
自分への適用対象範囲、勤続期間、職種・等級労働条件通知書、給与明細、加入通知

派遣先均等・均衡方式では、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を踏まえて退職金を含む待遇を決めます。労使協定方式では、同種の業務に同じ地域で従事する一般労働者の平均的な賃金と同等以上になるように、基本給・賞与・手当、通勤手当、退職金を確認します。

この記事は、特に質問が多い労使協定方式の退職金の確認に焦点を当てます。

労使協定方式の退職金は3つの方法

厚生労働省の2026年度適用の局長通達では、一般退職金の確保方法として、次の3つから労使で選ぶこととされています。労働者の区分ごとに方法を分けることや、一定の方法を併用することもあります。

1.退職手当制度で比較する

派遣会社が退職手当制度を設け、一般の労働者の退職手当制度と同等以上の水準を確保する方法です。

この場合は、退職金を受け取るための勤続年数、自己都合・会社都合などの退職事由、計算式、支払方法、支払時期を確認します。厚生労働省の通達では、協定対象となる派遣労働者に適用する制度について、退職手当の決定・計算・支払方法と支払時期が明確であることを求めています。

短期の契約を更新している場合は、派遣先での就業期間ではなく、派遣会社との雇用期間をどのように通算するかが重要です。派遣先が変わっただけで勤続がリセットされるのか、雇用契約の空白期間をどう扱うのかを規程で確認してください。

2.退職金相当額を賃金で支給する

退職金相当の手当などを、毎月の賃金として支給し、一般退職金と同等以上を確保する方法です。「退職金前払い」「退職金相当額を時給に含む」などと説明されることがあります。

この方法では、退職時に同じ期間分の一時金が別に積み立てられているとは限りません。次を区別して確認します。

  • 給与明細で退職金相当額を独立表示するか
  • 基本給などと合算して比較する場合、労使協定に計算方法があるか
  • 時給のうち何円を退職金相当として扱うか
  • その金額が契約更新や年度変更でどう変わるか
  • 退職時に別途支給される金額があるか

「時給1,400円(退職金込み)」とだけ書かれていても、そのうちいくらが退職金相当額か、何を基準に同等以上と確認したかは分かりません。派遣会社へ賃金表と労使協定上の内訳を説明してもらいましょう。

3.共済・企業年金などへ加入する

派遣会社が中小企業退職金共済制度、確定給付企業年金、確定拠出年金、独自の企業年金制度などへ掛金を拠出する方法です。

この場合は、毎月の給与へ現金で上乗せされるとは限りません。制度名、加入日、事業主掛金、受取条件、転職時の資産移換、退職時の請求手続きを確認します。本人の給与から控除される金額と、派遣会社が負担する掛金も分けて見てください。

2026年度の「5%」は何を意味する?

2026年度適用の厚生労働省通達では、退職金相当額で比較する方法や共済等へ加入する方法の一般退職金について、**一般基本給・賞与等に乗じる退職給付等の費用の割合を5%**としています。

これは、すべての派遣社員が自分の表示時給の5%を退職時に追加でもらえる、という意味ではありません。

  • 比較の基礎は通達上の「一般基本給・賞与等」
  • 派遣社員側は、実際の退職金相当の賃金、平均額、見込み額、標準額など労使で選んだ方法で比較する場合がある
  • 退職手当制度を選ぶ場合は、勤続年数別の支給月数・金額などで比較する
  • 賃金支給と共済掛金を併用する場合もある

求人の「退職金なし」「時給込み」の読み方

表示確認したいこと
退職金制度あり勤続要件、計算式、退職事由、支払時期
退職金相当額を時給に含む1時間当たりの相当額、給与明細の表示、別途支給の有無
退職金共済あり制度名、加入条件、事業主掛金、請求・移換方法
退職金なし待遇決定方式と、退職金をどの方法で比較・確保しているか

「退職金なし」が、退職時の一時金制度がないという意味で、退職金相当額を毎月の賃金で確保している場合もあります。反対に、「時給が高いから退職金込みだろう」と本人が推測するだけでは確認になりません。

労働条件通知書、就業規則、退職金規程、労使協定、給与明細を同じ年度でそろえて確認してください。

労使協定で確認する順番

  1. 自分が労使協定方式の対象か確認する
  2. 現在の労使協定の有効期間を確認する
  3. 自分に適用される職種、地域、能力・経験区分を確認する
  4. 退職金について3つのうちどの方法を選んでいるか確認する
  5. 賃金規程・退職金規程など、協定が引用する別規程も確認する
  6. 自分の給与・掛金・勤続期間へどう適用したか説明を求める

派遣会社の公式サイトでは、労使協定を締結しているか、対象範囲、有効期間の終期などを確認できます。協定本文や賃金規程が公開されていない場合は、従業員向けマイページ、社内ポータル、事業所での掲示・備え付けなど、労働者が確認できる場所を聞きます。

派遣会社への質問例

私の待遇決定方式と退職金の扱いを確認したいです。
労使協定方式の対象であれば、現在の協定で選んでいる退職金の確保方法、
私に適用される職種・地域・能力経験区分を教えてください。

退職金相当額を賃金で支給している場合は、1時間当たりの金額、
給与明細上の項目、計算根拠、退職時の別途支給の有無も確認したいです。
共済や企業年金の場合は、制度名、加入日、事業主掛金、請求方法を教えてください。

口頭回答だけでは後から確認しにくいため、可能ならメールや書面で回答を受け、対象年度の規程と一緒に保存します。

退職前に確認するチェックリスト

  • 派遣会社との雇用契約の終了日
  • 退職金制度の最低勤続年数を満たすか
  • 自己都合・会社都合・契約満了の区分
  • 勤続期間の起算日と通算方法
  • 退職金の計算基礎となる賃金・等級
  • 支給予定額、支払日、必要な申請
  • 共済・企業年金の請求または移換手続き
  • 退職金相当額を賃金で受け取った期間と、別途支給の有無

派遣先での契約が終了しても、派遣会社との雇用が続く場合は、まだ退職に当たらないことがあります。「派遣先を離れる日」と「派遣会社を退職する日」を分けて確認してください。

よくある質問

派遣社員は3年働けば退職金をもらえますか?

一律に3年とは決まっていません。退職手当制度を利用する場合は、就業規則や退職金規程に定める最低勤続年数、起算日、通算方法を確認します。退職金相当額を毎月の賃金で受け取る方式や、共済へ掛金が拠出される方式では確認方法が異なります。

時給込みなら退職時には何も受け取れませんか?

退職金相当額を毎月の賃金として支給する方式だけなら、同じ期間について退職時の一時金が別に支給されない場合があります。ただし、退職手当制度や共済との併用もあり得るため、協定と規程で別途支給の有無を確認してください。

給与明細に退職金の項目がありません

独立した項目で表示するか、基本給・手当等と合算するかは、労使協定や賃金規程の定めを確認する必要があります。「どの賃金が退職金相当額で、1時間当たりいくらか」を派遣会社へ説明してもらいましょう。

派遣先が変わると退職金の勤続年数はゼロになりますか?

雇用主である同じ派遣会社との雇用が続くなら、派遣先の変更だけで直ちに勤続がリセットされるとは限りません。派遣会社の規程にある勤続期間の定義と、雇用契約に空白がある場合の通算方法を確認してください。

まとめ

派遣社員の退職金は、退職時に一時金を受け取る方法だけではありません。労使協定方式では、退職手当制度、退職金相当額を賃金で支給する方法、共済・企業年金等へ加入する方法から選ばれます。

2026年度の公式通達で退職金相当額の比較に使う費用割合は5%ですが、表示時給の5%が全員へ別途支給されるという意味ではありません。自分の待遇決定方式、適用年度、退職金の確保方法、計算根拠、退職時の手続きを派遣会社へ書面で確認してください。

参考情報