工場・倉庫の熱中症対策|未経験者が確認したいこと【2026年版】

工場・倉庫で働く未経験者向けに、2026年の職場向け熱中症ガイドライン、応募前の確認事項、初期症状を感じたときの報告と対応を解説します。

暑い工場で給水しながら体調を確認する作業員
記事内容をもとに制作したイメージ画像です。
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工場や倉庫では、屋外だけでなく、機械の熱、湿気、風通し、防護服、作業量などが重なり、屋内でも熱中症になる可能性があります。冷房があるかだけで判断せず、作業場所ごとの暑さ、休憩、給水、体調不良時の連絡方法を確認してください。

厚生労働省が2026年5月に公表した確定値では、2025年に職場で発生した熱中症の死亡者と休業4日以上の業務上疾病者は1,803人で、前年より546人、約43%増え、統計開始以来最多となりました。

2026年夏に確認したい2つの動き

2025年から重篤化を防ぐ対応が義務化

2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、対象となる暑熱作業では、事業者に次の対応が求められています。

  1. 熱中症の自覚症状がある人や、熱中症のおそれがある人を発見した人が報告できる体制を整える
  2. 作業からの離脱、身体の冷却、医療機関の受診、緊急搬送先など、症状の悪化を防ぐ手順を作る
  3. 報告先と対応手順を関係作業者へ周知する

対象となる目安は、WBGT値28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業です。この基準を下回れば何もしなくてよいという意味ではなく、作業内容や服装、体調に応じた予防は別に必要です。

2026年に新しい予防ガイドラインを策定

厚生労働省は2026年3月、職場における熱中症防止のためのガイドラインを策定しました。事業者がWBGT値などからリスクを把握・評価し、作業環境管理や作業管理などの対策を選んで実施する考え方が示されています。

WBGT値は気温だけでは分からない暑さの指標

WBGT値は、気温だけでなく、湿度、日射・輻射熱などを考慮する暑さの指標です。同じ気温でも、湿度が高い、熱い機械の近くにいる、直射日光を受けるといった条件でリスクは変わります。

工場・倉庫で確認したいのは、建物全体の温度ではなく、自分が実際に作業する場所の状態です。

作業場所暑くなりやすい要因確認すること
製造ライン機械、炉、蒸気、作業密度作業位置ごとのWBGT測定、スポット冷房
倉庫・物流大空間、荷物、開放された搬入口送風、休憩場所、繁忙時間の作業量
屋外ヤード直射日光、照り返し日陰、作業中断基準、帽子や冷却用品
防護服を着る作業熱がこもりやすい連続作業時間、着替え、休憩頻度
夜勤日中より涼しくても建物に熱が残る実測値、給水場所、夜間の救急連絡先

応募前・職場見学で確認すること

「空調完備」という表示だけでは、作業場所の暑さを判断できません。事務室や休憩室だけに冷房がある場合や、搬入口の開閉で外気が入る場合もあります。

職場見学や派遣会社からの説明では、次を質問します。

  • 実際の作業場所に冷房、送風機、スポットクーラーがあるか
  • WBGT値をどこで、どのくらいの頻度で測っているか
  • 暑さに応じて休憩を増やす、作業を中断する基準があるか
  • 水分と塩分を取れる場所・タイミング
  • 冷房のある休憩場所まで何分かかるか
  • ファン付き作業服や冷却用品の支給・使用条件
  • 一人作業になる時間があるか
  • 体調不良時の報告先と救急搬送先
  • 入社直後に作業時間を段階的に増やすか

質問への回答が「各自で気を付ける」だけの場合は、具体的な休憩基準、報告先、緊急時の手順を追加で確認してください。

働き始める初日に確認すること

職場見学と実際の配属場所が異なる場合もあります。初日は安全教育の中で、次を自分の目で確認します。

確認項目確認する内容
報告先現場責任者の名前、内線、無線、緊急連絡方法
休憩場所冷房、椅子、横になれる場所、利用時間
給水水分・塩分の保管場所、作業中に飲めるタイミング
作業中断WBGT値や体調により誰が判断するか
仲間の確認バディ制、巡視、定時の声かけがあるか
救急対応救急箱、冷却用品、搬送先、119番を呼ぶ基準

派遣で働く場合は、現場ですぐ連絡する派遣先の責任者と、雇用主である派遣元の担当者の両方を登録しておきます。緊急時はまず安全確保と現場の救急手順を優先し、その後の報告方法も確認してください。

体を暑さに慣らす暑熱順化

暑い環境に体が慣れていない時期は注意が必要です。入社直後、長期休暇明け、急に気温が上がった日、別の作業場所へ移ったときは、同じ作業でも負担が大きくなる場合があります。

事業者のガイドラインでは、暑熱作業へ新たに従事する人について、計画的に暑さへ慣れる期間を設けることが重要とされています。未経験者は「初日から通常と同じ作業量か」「最初の数日は時間や負荷を調整するか」を聞きましょう。

睡眠不足、二日酔い、食事を取れていない状態、体調不良などもリスクを高めます。持病や服薬について職場へ伝える必要があるかは、健康診断や産業医などの案内に従ってください。

熱中症が疑われるときの基本行動

めまい、立ちくらみ、大量の発汗、筋肉痛・筋肉の硬直、頭痛、吐き気、だるさなど、普段と違う症状を感じたら、我慢して作業を続けないことが重要です。本人が「少し休めば大丈夫」と思っていても、判断力が低下している場合があります。

基本の流れは次のとおりです。

  1. 作業を止め、決められた報告先へ連絡する
  2. 涼しい場所へ移動し、衣服を緩めて身体を冷やす
  3. 意識や受け答え、水分を取れる状態かを確認する
  4. 現場の手順に従い、必要に応じて医療機関へつなぐ
  5. 回復したように見えても、一人きりにしない

厚生労働省の通達でも、熱中症のおそれがある作業者は容体が急変する場合があるため、一人きりにせず、ほかの作業者が見守ることが重要とされています。

  • 意識がぼんやりしている、受け答えがおかしい
  • 自力で水分を取れない
  • けいれんしている、まっすぐ歩けない
  • 冷却しても症状が改善しない、または悪化している

このような状態では本人だけで判断させず、119番通報を含む救急要請を検討してください。判断に迷う場合も放置せず、現場責任者、医療機関、地域の救急相談窓口などへ速やかに相談します。

自分でできる準備と、会社が整える対策を分ける

水筒を持つ、睡眠を取る、体調を申告することは本人にもできる準備です。一方、暑さの測定、休憩できる作業計画、報告体制、救急手順、安全教育などは、個人の努力だけで代替できません。

自分で準備・申告すること職場へ確認すること
睡眠、食事、飲酒、当日の体調WBGT値の測定と周知
指定された水分・着替え給水・塩分・休憩場所の確保
症状を早めに報告する作業中断と救急対応の手順
同僚の異変を報告する巡視、バディ制、連絡体制

「自己管理が足りないと言われそう」と考えて症状を隠すと、対応が遅れるおそれがあります。報告すること自体が安全対策の一部です。

よくある質問

冷房がある工場なら熱中症の心配はありませんか?

冷房がある場所でも、機械の熱、湿度、防護服、作業量、冷房が届かない位置などによりリスクは変わります。実際の作業位置のWBGT値と休憩方法を確認してください。

夜勤なら昼より安全ですか?

直射日光は減りますが、建物や設備に熱が残る、湿度が高い、夜間は人員や医療機関への連絡体制が異なるといった点があります。夜勤帯の測定値と緊急連絡方法を確認しましょう。

派遣社員は誰へ体調不良を伝えますか?

まず作業を止め、現場で指定された派遣先の責任者へすぐ報告します。派遣元への報告方法も事前に確認してください。緊急性があるときは、通常の連絡順にこだわらず安全確保と救急要請を優先します。

水分を取っていれば十分ですか?

水分だけでなく、暑さの測定、休憩、作業時間、身体の冷却、体調確認、緊急対応などを組み合わせる必要があります。水分を取っているから作業を続けてよいとは限りません。

まとめ

工場・倉庫の熱中症対策では、空調の有無だけでなく、作業場所のWBGT値、休憩と給水、報告先、緊急時の手順を確認します。未経験者や入社直後は暑さに慣れていない可能性があるため、初日から無理を前提にしない作業計画になっているかも重要です。

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